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「ゲドを読む。」は糸井重里プロデュースの「文庫のかたちをしたフリーペーパー」で、内容は中沢新一氏の文章などフリーでなくても十分楽しめる本になっています。「ゲド戦記」の「広告」である、と説明されています。


装丁には5色(赤、青、黄、マゼンダ、黒)のバージョンがあるのだけど、内容が異なるのかは知れない。僕が入手したのは「赤版」です。
佐藤可士和氏デザインで、氏らしい、個々の肌理で見せる普通のデザインと違って、個々では個人のサイズ、群では印象に残る面を構成する、場によって質や視点が変わるようなデザインです。

で、内容なのだけど、中沢氏は文化人類学的に、河合隼雄は心理学的に、それぞれの視点で「ゲド戦記」を眼差します。文体は平易にまとめられて、内容が専門的に振れそうなのに読み進めやすい。しかも、だんだんと原作が読みたくなってくる。
僕は、日本語版訳者の清水真名子さんのインタビューがとても興味深く、中でも「アニメ版についてどう思われるか?」という問いの返答のなかで「私たちが何かを読むときって、こちらの器に応じてしか受け取れない…誰もが誤解しながら少しずつ受け取っていく。」と言っていたのが印象的。

本編でも「本当の力で持つに値するのは受け入れる力だ。」と述べられているようだし、河合先生が言う「真の名(モノをあるがままに見つめること、偏見や思い込みからの開放)」と交差させると、それが示唆するものが、丁度僕が最近考えることと重なって、尚更原作への興味が湧くわけです。「真の名を知るには受け入れる力が必要なのだ」ということなのでしょうか。

映画版には、そこまで触手が伸びることがなかったのですが、宮崎監督が、「今の若者」に対して、どう物語を提示するのか、を試行錯誤している辺り、共感する部分でもあり、その出力としてどういう作品になっているのかは気になる。

とにかく、まんまと広告に乗せられて、原作を手にしようと思うわけです。乗せられてもよいと思わせる“広告手法”なのですね。

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